映画から学ぶライフレッスン

映画から私が受け取った学びの記録(全てネタバレあり)

マイ・ブックショップ/The Bookshop

2017にペネロペ・フィッツジェラルドの『The Bookshop』を映画化した作品。1959年にイギリスの片田舎の保守的で、一軒も書店のない町に、未亡人のフローレンスが夫との夢だった本屋さんを開く物語。エミリー・モーティマービル・ナイーの演技が抜群です。

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マイ・ブックショップ - Wikipedia

 

空がどんよりして海がグレーのイギリスらしい風景の中、ずっと空き家だった歴史的な建物を頑張って購入し、書店を開いたフローレンス(エミリー・モーティマー)。その建物でいつか芸術センターを開こうと思っていた町の有力者は(いくらでもチャンスがあったのに、動かなかったくせに)フローレンスを諦めさせようとしたり、開店後は一生懸命邪魔をします。挙げ句の果てにはその建物が強制収用されるよう政府に働きかけます。

 

「イギリスの政府は全くの補償もせずに個人の財産を強制収用できるんだ!!」

 

というのが驚きでした。歴史的建造物を保存するため、とか、道を作るため、等、所有者の同意がなくても収用できるのだそう。しかも、今でこそ個人が購入に使った費用や移転するための費用、弁護士費用等は補償されるそうですが、その時代はそれすら一切出ないケースがあったってことですよね。国って恐ろしい。(最近聴いたTED Talksで、アメリカにおいては、それよりももっとびっくりな民事没収なる制度があることを知り、この映画を思い出しました。)

この映画では、当時の『華氏451度』の受け入れられ方や、発禁だった『ロリータ』が出版された時の反応がそういう感じだったのか…、というのも見られて面白かったです。

この町の有力者(パトリシア・クラークソンの存在感デカっ!って感じです)がなぜあそこまでフローレンスの邪魔をするのか、という点は、その人個人の問題、ということにもできるんだろうけど、当時のイギリスの、まだ階級社会意識の強さをも物語っているのかな?とも思います。そんな片田舎の小さな町だったら、当然自分にひれ伏すと思っている、というような。

ビル・ナイーがフローレンスを応援するのは、彼女の行動を起こす勇気がそうさせる、というようなことも言ってます。読書の素晴らしさも描かれますし、悲惨なだけの原作と違って、スカッとする要素も入っていますし、映像は美しいですし、Amazon PrimeNetflixでやってたらまた観てみようかなと思います。

xx jane.